スポーツを続けていると、
- 上達していないように思う。
- スランプになってしまった。
と感じるときがあります。
今回はそんな
上達しない感覚になる原因や、スランプの抜け出し方を解説します。
自問するときは
・なぜ ではなく なに を使うこと。
指導者は
・選手が失敗の場面を連想するような指導を避けること
以上のことを解説します。
「なぜ」はスランプの原因になる
問題が起きるとその原因を見つけたくなるのが人間です。
「なぜあの時あんなプレーをしたのか。」
”なぜ”には問題点があります。”なに”を使うようにしましょう。
「なにを考えてあの時プレーをしたのか。」
”なぜ”を使わない理由①
人は”なぜ”と聞かれたとき、都合よく答えるようにできています。都合が良いだけで成長できません。現状に立ち止まって足踏みしてしまいます。
”なに”を使うことで、都合の良い考えを改めましょう。
例えばこんな研究があります。
危険な吊り橋と頑丈な吊り橋があります。
どちらも吊り橋を渡った先に同じ美女が立っています。
吊り橋を渡り終えると美女がこういうのです。『アンケートに答えてくれませんか。・・・・(略)』
そして美女は最後に、『もしまた話したいことがあれば、電話番号を教えるのでかけてほしい。』と伝えるのです。
さて、実際に美女に電話をかけた人は
- 危険な吊り橋を渡った人
- 頑丈な橋を渡った人
どちらが多かったでしょう。
答えは、危険な吊り橋を渡った人です。
その理由は、感情の違いが原因だろうと推測されます。
危険な吊り橋を渡った人は、吊り橋を渡った時の恐怖、鼓動が早くなった感覚 手が汗ばんだ感覚、それが原因で美女に電話を掛けたのです。
にもかかわらず、理由として自分の身体変化を上げる人はいませんでした。多くが美女がかわいかったから。と答えたのです。
つまり、吊り橋によっておきた感情の変化が美女に電話をかけなおした本当の原因なのに、多くの人はもっともらしい、「可愛かったから。」という答えにすり替えたのです。
このように、なぜという問いは自分の感情やその場の状況に合わせて、都合の良い考えを持たせてしまいます。間違ったことを、さも当たりまえのようにしてしまうのです。
”なぜ”を使わない理由➁
なぜという問いにはネガティブな考えをもたらすことが科学的研究で示されています。
なぜこんなことになってしまったのだろう。
⇒ きっとあの時の判断が間違いだった。パス相手を間違えたのが原因だ。
自分に都合よければ、マイナスな考えもしてしまいます。
”なに” ”なにが” と自分に問いかけて、解決策を考えられるようにしましょう。
「なに」で感情をコントロールする
例えば、上司に怒鳴られたとしましょう。
”なぜ” の場合
なぜどなられているんだろう。
⇒ きっと相手がイライラしているからだ。仕方ない。(自分の都合の良い安易な解釈)
⇒ 自分の成長につながらない逃避
”なに” の場合
何についてどなっているんだろう
⇒ きっとあの時の言葉遣いがいけなかったんだ。(具体的に改善策を発見する)
⇒ 言葉遣いだけで人に不快感を与えるんだ。修正しよう。
特に感情を言葉に落とし込むと、偏桃体の活性が穏やかになり、自分をコントロールしやすくなります。普段の生活から感情にも”なに”で対処してみましょう。なぜという問いは 原因と結果を結びつけることができます。なぜという問いは、自分の都合よいことを原因にすり替えて、結果と結びつけてしまうのです。
やってはいけない指導
失敗した選手にやってはいけない指導があります。心理学について学んでいないが故に、気がつかないうちに選手のプレーの質を下げてしまっているかもしれません。
選手に失敗イメージを持たせないようにする
選手が失敗イメージを持ってしまう指導があります。それは、〇〇するな!という言い方です。
ゴールを外した選手に対して、次はシュートを外すなよ。
そんな指導はご法度です。シュートを外すなと言った時点で、選手はシュートを外した場面を連想します。人は想像と同じような行動をとるため、よりシュートを外す確率が高くなります。なので正しくは、相手のゴールキーパーに当たらないところにボールを蹴るんだぞ。というアドバイスです。
イメージとプレーにはとても大きな相関があります。
選手にマイナス(失敗した)イメージを持たせないように、指導者は時に配慮する必要があるでしょう。