少年・少女たちは自分が周りからどう思われているか知らないはずです。
なぜならほとんどの人が、その子の欠点を教えてあげないからです。
このページでは、
- 指導者は気が付かせてあげる
- 指導者がいないと選手はどうなるか
- もし選手がアドバイスを求めたら
- 指導者の3つの注意点
を解説します。
参考文献
(ⅰ指導者の言語的フィードバックが学習者の「やる気」におよぼす影響
―少年サッカーを用いた検討― 日心第74回大会(2010)
講 演 者 東京学芸大学 名取 洋典
指導者は気が付かせてあげる
子供は自分のことを客観的に見られません。
指導者がいる理由は客観的に子供を見られるからです。その子が気が付かないことを教えてあげます。
厳しいことを言える指導者
時には厳しくフィードバックする必要もあります。
本当に思いやりがあって言えるなら、あなたは選手にとってかけがえのない人です。
人は良い知らせは本人に伝えますが、悪い知らせは伝えられないものです。それなのにわざわざ悪いところを指摘するのは選手を思っているからできることでしょう。
ただし当たり前のことですが、厳しくすれば良いわけではありません。
目標に沿って誤りを伝える
頭ごなしに意見を言っても選手は納得できません。頑張る理由にならないからです。
やる気をもたせる指導とは
- 勝利するという明確な目標を共有する
- 勝利のために改善したほうが良いと指導する
この手順が大切です。
目標に沿って誤りと伝えることが動機付けの面からも有効だと考えられます。(ⅰ
(参考に)大人になるほどアドバイスが少ない理由
他人は自分に悪い点を伝えてくれません。それには理由があります。
グループで生きるようになった人間にとって、相手の悪い点を伝えると、グループ内で生きるのが難しくなるからです。
人は真実を伝えるよりも、優しい言葉をかけるほうを好みます。
ただし、他人は自分の悪いところを教えてくれないけれど、自分以外の人にはその事を伝えています。
つまり、もし他人がどう自分を見ているのか知りたいならば、他人Aに他人Bが自分の事をどう言っているのか聞くのです。そうすれば他人Bが自分をどう思うか知ることができます。

(他人が自分をどう見ているのか知りたいならば、Aさんに聞いてみましょう。)
指導者がいないと選手はどうなるか
指導者から意見をもらわないとどうなるか。
子供は自分だけを信じ、自分だけでその道を歩むかもしれません。
もしその道が正しくなかったら・・・??
子供は必要のない失敗を重ねたり、無駄な時間を過ごしたり、もっと有意義に過ごせる機会を手放しているかもしれません。
客観的に見られる大人の力が必要です。ただし、指導とは導くことであり命令することではありません。子供が自発的に行動する気付きを与えることです。
もし選手がアドバイスを求めたら
選手にはできるだけ具体的に質問してもらいましょう。
なんとなく聞かれても、子供は納得できる答えを得られないでしょう。質問が上手くできないなら、質問のやり方を教えてあげたほうが良いかもしれません。
- 何に困っているのか
- 自分で思いつことはあるか
この2つを聞いてから、指導者はアドバイスします。
指導者が注意すること3つ
見守る側だって間違えてしまうことは当然あります。もし気が付いたことがあれば徐々に直しましょう!
①悪意のある指導者にならない
自分のトラウマや感情によって指導するのはやめましょう。
それは選手を不安にさせるだけです。
➁相手を本気で思いやる
アドバイスは決して相手を思いやって甘い言葉をかけてはいけません。
厳しい言葉にこそ意味があります。
なぜなら、今後も甘い言葉でその選手に話す人間は沢山いるからです。
いま選手の成長に欠かせないのは客観的な意見のはずです。
優しさから甘い言葉を選べば選手を勘違いさせたり、その選手の成長をとめてしまうかもしれません。
③「話を聞くとき真面目=やる気がある」という思い込み
話を真面目に聞く選手だけがやる気があるという思い込みはやめましょう。
指導者は真面目に話を聞く選手をやる気があると思いがちですが、この方程式は必ずしも当てはまらないのではないでしょうか。話を聞くのが嫌でもサッカーのやる気がある選手はいます。
<参考文献>
「指導者は真面目に話を聞く選手をやる気があると思う傾向がある。」という表記については以下を参照。
少年サッカー競技者の「やる気」の評定
日本心理学会第71回大会セッションID: 2AM129
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pacjpa/71/0/71_2AM129/_article/-char/ja
まとめ
子供たちにとって客観的な意見はとても大切。ということ、お伝えできていたら嬉しいです。
そして、私生活でももし他人が自分の悪口を言っていたら大チャンスです。
他人が自分をどう見ているのかを知ることができます。
知ることができたら、指導者の私たちも悪い点を無くすように試行錯誤してみましょう。